Xtal OSC with Cmos-BTL Copy right 2023 Ja2kai
CMOSを使った水晶発振回路の出力にBTL回路を採用してみた

74HCU04のようなアンバッファドのインバータを使った水晶発振回路はよく使われますが、そのICにはインバータが6回路入っています。そして使うのはそのうち2つだけ。
3ゲートのTC7WU04FUは無駄がありませんが手元にはありません。
そこで手持ちの74HCU04で、できるだけ沢山のゲートを使って豪華版発振器をつくってみようという実験です。
発振段の出力にはバッファを付けます。そしてその出力を二つに分けてBTLにしてみます。BTLなんてオーデイオで使う回路でしょ?って言われそうです。どうなることやら、、、

回路図です。

基板の様子です。"PCBの製作"に掲載したものです。

XoCmosBTLSCH.pdf基板の回路図です。
XoCmosBTL6PCB.pdfアイロン転写用パターン6個分です。ブラウザのpdf表示では綺麗に表示できませんのでダウンロードしてpdfリーダで印刷してください。また、印刷時にdsPICのピンと寸法が一致するように拡大または縮小してください。

XoCmosBTLLAY.pdf基板上の部品のレイアウトです。

動作チェック
作成して動作チェックを行うと、なんのカットアンドトライもしないですんなりと動作してしまいました。
普通なら、ここでああでもないこうでもないとグダグダ書くところですが、すんなり過ぎて書くことがありません。
スペアナで主信号及び高調波を観測した様子です。スパンは50MHzです。偶数次高調波が少ないのはBTLの効果なのか矩形波だからなのかはわかりません。

スペアナで信号近傍を観測した様子です。スパンは1kHzですのでX軸の1目盛りは100Hzです。出力は+10dbm以上得られています。
出力が大きく、また主信号近傍は非常に綺麗です。出力のコアを調整しても周波数は動きません。また、同様に出力のコアを調整しても出力レベルは僅かしか変動しません。同調しないのか?
周波数調整は水晶のところのトリマで行いますが、用途によっては敏感過ぎますのでパラレルのコンデンサを入れて。トリマの容量を小さくした方がよいかもしれません。
でも、この回路はちょっと変だよね
でもね、この場合のBTL出力回路って意味あるの?
Cmosの出力はほぼVccとGNDの間を動きます。確かにBTLにすることでスイングは2倍になりますがタンク回路がGndとVddに交互にスイッチングされる状況ではタンク回路はまともに動作しない気がします。
そこで、LTSpiceで動作をシミュレーションしてみました。
LTSpiceでシミュレーション
結論から言いますと、この回路の出力側のタンク回路は正常な動作をしません。ただのトランスです。そのトランスに無駄なコンデンサが付いているといったイメージです。
タンク回路の両端は常にGndかVddに固定されますのでLCが同調するかしないかに関わらず出力は一定です。(実際には僅かに同調しているような様子はあります。)
通常、変わった回路を試すときは、最初に回路シミュレーションをしますが、今回は頭から「動くに決まってる」と思い込んでいたのが間違いでした。
今回は、やはり回路設計はシミュレーションからやるべきだったという反省でした。

制作上の注意点
  • こんな回路を作ってはいけません。
  • 出力のタンク回路は単なるトランスとして動作します。
  • 電源は5Vです。

  • 回路を変更して実用化
    その後、フト気がついたので試してみました。
    Cmos出力側のコンデンサを除去して二次側で共振できないか?ってね。
    結果は上々、ちゃんと共振します。1次側は巻数3T×2に330PFでしたので、二次側は10Tに100PFくらいかと思ったのですが330PFでかなりコアを抜いた位置で共振しました。
    でも、負荷が重いと共振しにくくなりますので留意が必要です。




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